ボルタレンとロキソニンの違いとは？

2017/05/25

ボルタレンとロキソニンは、どちらも痛み止めとして有名ですよね。では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。効果の違い、そして剤形の違いについて確認していきましょう。

ボルタレンとロキソニンの作用機序

ボルタレンとロキソニンは、どちらもNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）と呼ばれる消炎鎮痛剤です。そのため、同じ作用機序でその効果を現します。

痛みを感じるメカニズムに関与しているのは「痛み物質」で、これが放出されることにより痛みが生じます。そして、体内で炎症が起こったときに放出されるのが、痛み物質の一つであるプロスタグランジン（PG）。この物質には、痛みを誘発する作用の他に体温を上げる作用もあります。

プロスタグランジンを生成するときに、原料となるのはアラキドン酸という物質です。これにシクロオキシゲナーゼ（COX）という酵素が作用することによって、プロスタグランジンに変換されます。そして、ボルタレンやロキソニンはこの酵素を阻害することによりプロスタグランジン合成を抑制します。

このようにしてプロスタグランジンの生成が抑えられると、鎮痛効果が生まれます。また、それと同時に解熱作用も得ることができます。

ボルタレンとロキソニンの効果の違い

ボルタレンとロキソニンは同じ作用機序で効果を発揮しますが、効果の出方には違いがあります。ボルタレンは、NSAIDsの中でも最も強力な鎮痛剤です。痛みが強く他の痛み止めが効かないときには、ボルタレンが向いているといえるでしょう。

それに対してロキソニンは、即効性に優れています。ロキソニンの効果が現れるのは早いと15分、遅くても1時間だといわれています。ボルタレンには、ここまでの即効性は期待できません。最高血中濃度に到達するまでの時間は、ロキソニンは0.79時間、ボルタレンは2.72時間。効果が出るまでの時間に、大きな差があることがわかりますね。

なお、効果の持続性に関してはボルタレンとロキソニンで大きな違いはありません。ボルタレンの効果持続時間は6時間〜8時間、ロキソニンの効果持続時間は5時間〜7時間となっています。そのため、どちらの薬も服用間隔を4時間〜6時間ほど空けなければいけません。すでに服用した薬の効果が残っているうちにもう1錠飲んでしまうと、副作用のリスクが高まるので注意しましょう。

ボルタレンとロキソニンの剤形の違い

ボルタレンには、錠剤やカプセル剤などの飲み薬、座薬、テープ、そしてゲルやローションなどの塗り薬があります。ボルタレンの錠剤は、生理痛や抜歯後の痛みに有効性が高いことがわかっています。カプセル剤は錠剤よりも効果が穏やかで、効果持続時間も長いのが特徴です。

そして、強い鎮痛効果と即効性の両方が期待できるのがボルタレンの座薬です。座薬が最高血中濃度に到達するまでの時間は1時間ほどなので、錠剤の2.72時間と比べるとかなり即効性があることがわかりますね。

その他に、ボルタレンにはテープや塗り薬もあります。これらを使用する場合は、皮膚症状に注意しましょう。

次に、ロキソニンです。ロキソニンには、錠剤、細粒、テープ、パップ、ゲルなどがあります。ボルタレンとの大きな違いとしては、座薬がないこと、そして粉薬があることが挙げられます。

また、ボルタレンの貼り薬はテープのみですが、ロキソニンにはテープ剤とパップ剤の2種類があります。湿布と聞いたときにほとんどの人がイメージするのはパップ剤で、貼った瞬間にひんやりするのが特徴です。それに対し、テープ剤は貼っても目立ちにくく、剥がれにくいのがメリットとなっています。

このように、ボルタレンとロキソニンでは剤形にも違いがあります。この点も頭に入れておくとよいでしょう。

ボルタレンとロキソニンは併用不可！

痛みが強いときに、ボルタレンとロキソニンの両方を服用したいと考える人もいるかもしれません。しかし、この2つの薬剤を同時に摂取できません。ボルタレンとロキソニンは同じメカニズムで体に作用するため、両方飲むことで副作用が強く出てしまうのです。

これらの薬の代表的な副作用は、消化器症状です。痛み物質であるプロスタグランジンですが、胃粘膜を保護する働きもあります。そのため、プロスタグランジンの生成を阻害することで胃腸系の副作用が生じてしまうのです。具体的な症状としては胃痛や吐き気などがありますが、ひどい場合には胃炎や胃潰瘍、大腸炎になってしまうことも。

ボルタレンとロキソニンを同時に服用すると、重大な副作用を生じるリスクが高くなります。特にボルタレンは副作用の可能性がもともと高く、ボルタレンだけで服用しても消化器系の副作用が起こる確率は6.63%。これに加えてロキソニンを服用することが、いかに危険かがわかりますね。

もちろん、同じ薬の容量を超えて服用してもいけません。通常量で痛みがおさまらないのであれば、自己判断せずに医師に診てもらうようにしましょう。