エスゾピクロンが主成分のハイプナイト、その効果は？

2017/05/25

ハイプナイトは、エーザイ製薬が開発した「ルネスタ」という睡眠薬のジェネリック医薬品です。その効果や副作用、正しい飲み方などをみていきましょう。

ハイプナイトの作用機序

人間の脳には、睡眠に関係する「ベンゾジアゼピン受容体」という受容体があります。この受容体を刺激することにより、神経の興奮が抑制されて眠りにつくことができるのです。ハイプナイトの主成分であるエスゾピクロンは、このベンゾジアゼピン受容体を刺激することにより睡眠薬としての効果を発揮します。

ベンゾジアゼピン受容体には、ω1受容体とω2受容体の2種類があります。そのうち睡眠に関わるのはω1受容体で、ω2受容体は抗不安作用や筋弛緩作用に関連しています。ハイプナイトはベンゾジアゼピン受容体のなかでもω1受容体に選択的に作用するため、効率的に眠気を誘発できるのです。

ハイプナイトが向いている人

睡眠障害は、大きく分けて4つの種類があります。ベッドに入ってもなかなか寝付くことができないのは、「入眠障害」。眠りについても夜中に何度も目が覚めてしまうのは、「中途覚醒」です。「早朝覚醒」は、予定より早く起床してしまう睡眠障害のこと。そして、寝ても疲れが取れず寝た気がしないのは「熟眠障害」と呼ばれます。

ハイプナイトは、超短時間型睡眠薬に分類されます。服用してから1時間〜1時間半ほどで最大血中濃度に達し、5時間ほど効果が続きます。そのため、目が覚める頃には薬の効果はほぼなくなっています。

そのため、ハイプナイトは入眠障害や中途覚醒で悩まされている人に向いているといえるでしょう。自然な眠りを誘うため、熟眠障害の人も服用することが可能です。しかし、早朝覚醒の人にはハイプナイトは向いていません。なぜなら、明け方には薬の効果が切れてしまっているためです。早朝覚醒の人は、中間作用型や長時間作用型の睡眠薬を選ぶことをおすすめします。

また、精神疾患に伴う睡眠障害に対応可能なのもハイプナイトの大きな特徴です。精神疾患だと服用できない睡眠薬も多くありますが、ハイプナイトは統合失調症や躁うつ病の人も使用することができます。ただし、筋弛緩薬や中枢神経抑制剤などと併用するとこれらの作用が増強されることがあります。現在服用中の薬がある場合は、医師や薬剤師に確認を行いましょう。

ハイプナイトの副作用

ハイプナイトは、副作用が少なく安全性の高い睡眠薬です。とはいえ、副作用が起こる可能性が全くないわけではありません。ここで、起こりうる副作用を確認しておきましょう。

まず、持ち越し効果です。持ち越し効果とは、次の日まで睡眠薬の効果を引きずってしまうこと。次の日の日中まで眠気が続いたり、体がだるくなったりします。ハイプナイトは短時間型睡眠薬のため持ち越し効果が生じる可能性は高くありませんが、睡眠時間が短い人や薬の代謝が遅い人は注意する必要があります。

そして、一過性前向性健忘。これは、睡眠薬を服用してから眠るまでの間の記憶がなくなることをいいます。また、夜中に目が覚めたときの出来事を覚えていないのも一過性前向性健忘の症状です。こちらの副作用も、ハイプナイトなどの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬では比較的起こりにくいといえます。しかし、服薬後の記憶がないと気が付いたら一過性前向性健忘を疑いましょう。

睡眠薬を服用するときに最も不安な依存性や耐性は、ハイプナイトではリスクは低いといえます。しかし、可能性がゼロではないことは覚えておくとよいでしょう。

ハイプナイトと似た作用のある睡眠薬としてアモバンがありますが、口内の苦味という副作用がありました。しかし、ハイプナイトはその点についてかなり改善されています。アモバンによる口内の苦味が苦手な人は、ハイプナイトを試してみることをおすすめします。