ヒルドイドはハンドクリームとして使える？

2017/07/24 2020/10/13

ヒルドイドは、優れた保湿作用があることで有名な医薬品です。高級化粧品以上にスキンケアに効果があると、美容に関心の高い女性の間では話題になっているようです。そんなヒルドイドは、ハンドクリームとしても使用できるのでしょうか。ここでは、ヒルドイドをハンドクリームとして使用した場合に期待できる効果と起こりうるリスクについてまとめました。

ヒルドイドクリームの効果

ヒルドイドは、1954年から発売が開始された医薬品です。はじめに販売されたのはクリーム剤のヒルドイドクリームですが、現在ではヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドローション、ヒルドイドゲルなど多くの剤形があります。

ヒルドイドは、保湿効果があることでよく知られています。しかし、ヒルドイドがもつ作用はこれだけではありません。ここでは、保湿効果をはじめとしたヒルドイドクリームがもつ主な作用をご紹介します。

保湿作用

ヒルドイドの有効成分は、ヘパリン類似物質です。そして、このヘパリン類似物質の構造には硫酸基、水酸基、カルボキシル基など水との親和性が強い基が多く含まれています。親水基と呼ばれるこれらの基が肌表面の水分を強力に保持するため、ヒルドイドには優れた保湿効果を発揮します。

血行促進作用

ヘパリンは人間の体内に元からある成分で、血液の凝固を防ぐ作用があります。ヘパリン類似物質も同様に血液が固まるのを抑えるため、血行を促進してくれます。そのため、ヒルドイドは皮膚の血管に静脈炎や皮下血腫などができてしまったときに使用されます。

皮膚をきれいにする作用

何かの拍子に皮膚を傷つけてしまっても、たいていの場合は時間が経つと元通りに完治しますよね。しかし、治った後もこんもりと膨れ上がった傷あとが残ってしまうことがあります。ヒルドイドは、傷あとの原因となる繊維芽細胞の増殖を抑制することによって皮膚をきれいにしてくれます。

あかぎれやしもやけに対する効果は？

特に冬になると、あかぎれやしもやけに悩まされる人も多いと思います。ひどくなると家事や仕事にも支障を生じることがあるため、少しでも早く改善したいですよね。

あかぎれやしもやけの原因は、肌の血行不良です。指先にしっかりと血液が循環しないことによって冷えが生じ、その結果乾燥を引き起こしてしまうのです。先に述べたように、ヒルドイドには保湿作用や血行促進作用があります。このことから考えると、ヒルドイドであかぎれやしもやけが改善される可能性はあるといえるでしょう。

ヒルドイドで手荒れがひどくなることも

あかぎれやしもやけを改善する効果が期待できるヒルドイドですが、ヒルドイドを使うことで手荒れが悪化してしまう可能性もあります。なぜなら、手荒れの原因は乾燥と炎症の両方あるためです。
乾燥してカサカサしているだけであれば、ヒルドイドは有効だと考えられます。

しかし、炎症を起こしているときにヒルドイドは推奨されません。ヒルドイドの血行促進作用によって、炎症がかえって広がってしまうためです。
そのため、手荒れがひどいときに自己判断でヒルドイドを使用するのは危険だといえます。きちんと治したいのであれば、皮膚科を受診することをおすすめします。

副作用が出たら使用中止を

ヒルドイドは、副作用が少なく赤ちゃんやお年寄りにも安心して使用できる医薬品です。しかし、医薬品である以上リスクが全くないわけではありません。
たとえば、ヒルドイドクリームの臨床試験では0.93％の人に副作用が出ています。症状は、発生頻度が高い順に皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、潮紅（赤ら顔）です。これらの症状が出たら、すぐに使用を中止するようにしましょう。

また、血友病や血小板減少症、紫斑病などの出血性血液疾患がある人や少しの出血で重篤な症状をきたす可能性がある人はヒルドイドを使用できません。ヘパリン類似物質が、血液凝固を阻害するためです。これに当てはまる人は、別の保湿剤を使用してください。