クラビット錠は子供にNG!その理由とは?
クラビット錠は、感染症にかかったときによく処方される抗菌薬です。しかし、実はクラビット錠は子供に飲ませてはいけません。ここではクラビット錠が子供にNGな理由と、クラビット錠を服用するときの注意点についてご紹介します。
クラビットはニューキノロン系抗菌薬
クラビットは様々な感染症に効果がある薬で、ニューキノロン系抗菌薬に分類されます。ニューキノロン系抗菌薬は、細菌のDNA複製に不可欠なDNAジャイレースを阻害します。これによって細菌のDNA合成を妨げ、感染症を改善します。
なおDNA複製は人間も行いますが、人間はDNAジャイレースをもっていません。そのため、クラビットは細菌に特異的に働きます。細菌に対して毒性があり人間に対して毒性があまりないのは、人間と細菌の違いを上手に利用しているからです。
クラビットの服用方法は少し変わっており、1日1回1錠(500㎎)です。他の薬とは違い1日3回服用ではないので、十分に注意しましょう。
クラビット錠は子供にNG!
クラビット錠はしばしば病院で処方されるため、馴染みがある人も多いと思います。しかし、クラビット錠は子供に対する適応はありません。添付文書には、「小児等に対する安全性及び有効性は確立していない」とはっきり記載されています。
子供にクラビット錠を使えない理由の1つとして、幼若犬や幼若ラットを使った動物実験で関節異常が認められていることが挙げられます。動物の子供に異常が認められたということは、人間の子供が服用した場合も同様の異常が生じる可能性があるといえるでしょう。
クラビット錠は風邪をひいたときにも二次感染予防として処方されるため、子供が風邪をひいたときにもつい飲ませたくなってしまうかもしれません。しかし、クラビット錠を子供に飲ませてはいけないので十分に気を付けてください。
クラビット錠のその他の注意点
クラビット錠は子供にNGですが、それ以外にもいくつかの注意点があります。ここでは、クラビット錠を服用するうえでの注意点についてご紹介します。
下痢の副作用が出やすい
クラビット錠に限ったことではありませんが、抗菌薬を飲むと下痢をはじめとした消化器系の副作用が出てしまうごとがあります。症状がひどいときには、早めに病院に行って医師に相談するようにしましょう。
妊婦・授乳婦は使用不可
クラビット錠の妊婦に対する安全性は確立されていません。また、クラビット錠の成分は母乳中に移行することが明らかになっています。そのため、妊婦や授乳婦はクラビット錠の使用不可となっています。
併用できない医薬品
クラビット錠は、飲み合わせの悪い医薬品がいくつかあります。ステロイド薬と併用するとアキレス腱障害が出やすくなることが明らかになっており、また一部の鎮痛薬と併用すると痙攣が、抗結核薬のデラマニドと併用すると不整脈が出やすくなります。さらに、アルミニウムやマグネシウムを含む胃腸薬と併用すると薬の作用が弱まる恐れがあります。
牛乳と一緒に飲んではいけない
一部の抗生物質は牛乳との飲み合わせが悪く、クラビット錠もその一つです。クラビット錠と牛乳を同時に飲むとキレートと呼ばれる構造ができ、体内に吸収されにくい状態になります。その結果、クラビット錠本来の効果が得られなくなります。
クラビット点眼薬は子供にもOK?
前述したように、クラビット錠は子供に対する適応はありません。しかし剤形が異なれば適応も異なり、クラビット点眼薬は子供にも使用されることがあります。
クラビット点眼薬には0.5%と1.5%の2種類があります。クラビット点眼薬1.5%の添付文書には「小児に対する安全性は確立されていない」と記載されており、子供に対して使用されることはあまりないようです。その一方で、クラビッ点眼薬0.5%の添付文書には子供への投与に関する記述はありません。子供や赤ちゃんに対して処方されることも多いようです。
子供の目が充血していて、かつ目ヤニが多く出ている場合は、結膜炎が疑われます。そして、このような場合にはしばしばクラビット点眼液0.5%が処方されます。クラビットは効果が高いため、正しい使用方法を守って点眼を続ければ早い段階での完治が期待できます。
ただし、クラビット錠やクラビット点眼液を必要以上に長期間使い続けるのはNGです。なぜなら、クラビットに対して抵抗性をもつ「耐性菌」が増えてしまうためです。耐性菌が増えると、治るはずの感染症も治らなくなってしまいます。必ず医師の指示通りに薬を使用するようにしてください。
医薬品について正しく理解することが大切
大人と子供ではそもそも身体が違うため、使用できる薬も異なります。子供に対して薬を使用するときには、子供にも使える薬かどうかを必ず確認するようにしましょう。子供に適応がないことを知らずにうっかり使ってしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。
また、医薬品にはそれぞれ注意点があります。副作用はもちろんのこと、服用方法や飲み合わせも大切なポイントです。健康被害を被らないためにも、医薬品を使用するときにはしっかりと理解を深めるようにしてください。
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