ヒルドイドクリームの添付文書情報と使い方を確認しよう

2017/05/25

ヒルドイドクリームは、日本の皮膚科でしばしば処方される医薬品です。そのため使ったことのある人も多いのではないでしょうか。気軽に使用できるイメージのヒルドイドクリームですが、れっきとした医薬品です。正しく理解するために、ここで添付文書情報と使い方を確認していきましょう。

ヒルドイドクリームの効能・効果

ヒルドイドクリームの効果は、大きく3つに分けられます。血栓溶解・血行促進作用、保湿作用、そして傷跡を綺麗にする作用です。

ヒルドイドの主成分は、「ヘパリン類似物質」と呼ばれるものです。ヘパリンは血液が固まるのを抑えるはたらきのある物質で、人の体内に存在します。そして、ヘパリン類似物質にもこれに似たはたらきがあります。そのためヒルドイドには血栓溶解・血行促進作用があり、皮膚の血行をよくするなどの目的で用いられます。

また、ヒルドイドは優れた保湿作用を有します。ヘパリン類似物質は水と結合しやすい硫酸基、カルボキシル基、水酸基などを持っているため、しっかりと水分を保持できるのです。そのため、ヒルドイドを使用することで皮膚の乾燥を改善できます。

そして、傷跡を綺麗にする作用です。皮膚を傷つけても、たいていの場合は自然と治癒します。しかし、鋭利なもので皮膚を切ってしまった場合などは傷跡が残るときもありますよね。目立つ部位に大きな傷跡が残ると、どうしても気になってしまうもの。ヒルドイドは、このような傷跡も綺麗にしてくれます。

傷跡の原因は、傷を治すときに患部に浸潤する繊維細胞です。ヒルドイドクリームは、繊維細胞のもととなる繊維芽細胞の増殖を抑制します。そのため、傷跡を治す効果が期待できるのです。

ヒルドイドクリームの添付文書の効能・効果の欄には、「皮脂欠乏症、進行性指掌角皮症、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)…」など、あまり聞きなれない難しい言葉が並んでいます。しかし、これらの疾患はどれも血栓溶解・血行促進作用、保湿作用、傷跡を綺麗にする作用のいずれかが必要になる疾患です。

例えば、「皮脂欠乏症」とは皮膚の油が減少して乾燥してしまっている状態のことです。これの改善には、ヒルドイドクリームの保湿作用が効きます。また、「凍瘡」とはしもやけのこと。しもやけの原因は血流の悪さなので、血栓溶解・血行促進作用によって改善できます。ヒルドイドクリームは、このように幅広い皮膚疾患の改善に用いられるのです。